人生100年時代に役立つたった一つのこと

「人生の目的を考えましょう」と呼びかけても、「そんなことを考えても、何の役にも立たない」という、冷めた反応がほとんどです。そんな人たちの言う「役に立つ」こととは、何なのでしょうか。それは誰の、何の役に立つことか、正体を探りましょう。

常に新たな商品やサービスを生み出し、それを消費してもらわなければ、資本主義の経済は成り立ちません。お金は血液のようなもので、人から人へと回っていかなかったら、経済は停滞してしまいます。そういうシステムにとって「役に立つ」のは、お金を「稼ぐ」人と「使う」人です。その物差しで測るなら、離れ小島や山奥に移り住んで、電気もガスも使わず、収入がないから税金も払わないような、「自給自足」をする人たちが一番、役立たずになるでしょう。高齢者や障がいのある人を、「生産性がない」と差別する人は、「資本主義」という主人に仕えることしか頭にないのです。

経済産業省は2018年に、「人生100年時代における社会人基礎力」を新たに定義しました。これからの時代を生き抜くために、若年、中年、高齢、どの年代でも役立つ力のことです。具体的には「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つが掲げられています。失敗しても粘り強く前進し、自ら問題の解決策を考え、多様な人々と協力する力は、社会人として必要でしょう。身につければ、出世にも役立ちそうです。ですが、そのような労働者を理想とする背景には、国民をいつまでも勤勉に働かせて、税収を得たい国家の策略があります。

国や社会が称賛する、「役に立つ」生き方になじめない人には、居心地の悪い世の中になってしまいました。親から見れば、わが子の将来に役立つのは受験勉強なのかもしれませんが、その価値観を強要すると、成績の悪い子どもは、「自分は生きていても役に立たない」と絶望してしまいます。

そもそも何が「役立つ」かは、環境によって変わるものです。

(『月刊 人生の目的』令和6年7月号より一部抜粋)

続きは本誌をごらんください。


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