気力がなくなった父に、どう接すればいいでしょうか
父は85歳です。母が亡くなってから、急に気力がなくなったように感じます。
家から出なくなったので、足腰が弱るのではないかと心配しています。近所の人と交流しようともしません。話しかけても、あまり表情が変わらず、「うん」と答える程度で、話をしようとしません。どのように接していけばいいでしょうか。
ご高齢で、気力がなくなり、家から出なくなる、近所の人と交流しない、話しかけてもあまり表情が変わらず、話もしようとしない、となると、ご家族としては、まず「認知症か?」と心配されると思います。もちろんその可能性もないわけではありませんが、この経過からすると、私は別の原因を考えます。それは、「うつ病による、仮性認知症(かせいにんちしょう)」という状態です。
「 仮性認知症 」とは、一見、認知症かと思う症状なのですが、実際には、認知症ではなく、うつ病によって引き起こされる状態です。
認知症と見える症状というのは、例えば、「ぼーっとすることが増えた」「動作が遅くなった」「何を聞いても『分からん、分からん』と言う」「表情が乏しくなった。笑顔がない」「『何も思い出せない』と言う」などです。
このような状態は、確かに認知症でも生じることがありますが、実はお年寄りのうつ病でも生じることがあるのです。
そして重要なことは、認知症は、基本的にはなかなか回復を見込めず、徐々に進行していく病気なのです。薬といっても、今のところ進行を遅くすることしかできません。しかし、うつ病の場合は、治療によって回復することができます。それが大きな違いです。
ですからそういう意味で、認知症なのか、 仮性認知症なのかを見分けることは、とても大切な鍵になってくるのです。
「認知症」と「うつ病による、仮性認知症」
どこが違うのか
では、認知症と仮性認知症は、どこが違うのでしょうか。その違いを、いくつか述べてみたいと思います。
まず発症のしかたですが、認知症だと、いつとはなしに発症する、という形で現れます。「だいたい、何年前頃から」と、おおよそのことは言えますが、何年何月から、ということは、はっきり言えません。家族が気づかないうちに発症していた、ということもあります。発症のしかたが極めてゆっくりとしているのです。
それに対して、仮性認知症の場合は、だいたいいつ頃から、というのが比較的はっきりと特定できます。何年何月頃から様子が変わってきた、ということを家族が言うことができます。比較的、急速にその変化が現れてくるのです。このように、発症のしかたに、違いがあるのです。
(『月刊 人生の目的』令和6年4月号より一部抜粋)
続きは本誌をごらんください。
\ 最新号から定期購読できます /
書店では販売しておりません
定期購読なら[最大30%オフ・送料無料]
【 最新号 】 12月号
A4変型,80ページ,オールカラー
11月25日発売 定価:700円(税込)
自利利他の精神で、命を守る
病気が治らなくても、みんなが幸せになれる医療を
◯ 真生会富山病院
真鍋恭弘院長にインタビュー
諸行無常 (しょぎょうむじょう)
すべてのものは続かない
変わらない幸せはどこに?
◯ 1からわかるブッダの教え 令和版 仏教辞典
今日は、お奉行さまご多忙で、お調べがありません
遺産分配で争っていた兄弟
◯ 光に向かって 高森顕徹
Q.ひきこもっている息子にどう関わったらよいでしょうか
◯ こころの相談室 心療内科医・明橋大二
アパートの生活でトラブルが起こったら
◯ これから先の不安に答える 弁護士・小堀秀行
山伏・弁円は、ガラリと生まれ変わり、親鸞聖人のご恩に泣いた
◯ 歎異抄の旅 木村耕一
「備えあれば、憂いなし」
災害への最も大事な備えとは
◯ 私たちは、なぜ生きるのか 哲学者・伊藤健太郎
野菜が主役なお料理ガイド
◯ブロッコリーの豆腐キッシュ ほか
野菜料理家・月森紀子
父は私が出した手紙をいつまでも持っていてくれた ほか
◯ 親のこころ
老病死を超えた幸せ
◯ 漫画 ブッダ 古澤たいち