高森顕徹(たかもり けんてつ)先生
高森顕徹先生の新刊『人生の目的 〜 旅人は、無人の広野で猛虎に出会う』は、発刊から1年半あまりで25万部を突破する大ベストセラーとなりました。
読者からは、「これまで何冊もベストセラー書籍を書かれた高森先生は、どんな方なのでしょうか」という問い合わせが、多く寄せられています。
そこで長年、執筆スタッフの一員として活躍してこられた、ライターの伊藤健太郎さんに詳しくお聞きしました。
── 高森顕徹先生は、一般にいう「作家」の方なのでしょうか。何を伝えようとして執筆活動をされているのでしょうか。
伊藤 それは高森先生ご自身が、英訳『歎異抄(たんにしょう)をひらく』の序文に、次のように書いておられます。
私の人生を大変換させた親鸞聖人の教えとの出会い
高森 顕徹
1944年の春、16歳の時、私は志願して日本の軍隊に入り、戦闘機パイロットとして訓練を受けた。
戦争が終わる数カ月前、私はまだ10代であったが、先輩たちは次から次へと、爆発物を積み込み、片道の燃料を積み込んだ飛行機で飛び立っていった。連合国の軍艦や航空母艦に自らの機体を体当たりさせよとの命令であったが、それは勝つ見込みのない戦争への、絶望的なあがきであった。
神風パイロットに課せられたのは、常に打たれ、服従し、死ぬためだけの訓練であり、それは残酷かつ野蛮なものであった。自らの命を投げ出すことは、大きな名誉であると教えられ、自己の命の犠牲で、国を救い天皇に尽くすのみならず、不朽の命をうることができるのだと洗脳された。若かった私の名前はリストにはなかったが、順番が来るのは時間の問題であった。心の底ではしかし、私は生きることを天に祈った。同志たちが皆そうであったように。
近く死ぬ運命にあったパイロットたちは、この絶望的な状況にあって、必死になって意義を見いだそうとした。死地に送られる最後の飛行に、彼らが唯一の道連れにと選び、携えていったのは、『歎異抄』という本であり、親鸞聖人(しんらんしょうにん)のメッセージであった。
戦争が終わり、幸いにも生きながらえた私は、あの小さな本の偉大な教えに注目するようになった。
親鸞聖人の教えとの出会いは、私の人生を大変換させ、私は新たな目的に満たされた。友達も私も、命を投げ捨てることは美しいのだと教えこまれ、だまされてきたことを思うと今でも私は怒りに震えずにおれない。しかし、真実を知ることのできた私は、言葉にできないほどの幸せを感ずるのである。あの若者たちの希望のない暗黒の旅路に、明るい希望の光を与えた不滅の真理を、自ら深く知り、人と分かち合うことに、私は残りの人生を捧げてきた。
ベストセラー作家が「平生業成」の教えを破壊
── 高森先生は、親鸞聖人の教えを伝えること一つに、生きておられるのですね。国の内外を問わず、講演に世界を飛び回られながら、数々の本を書かれ、アニメ映画を次々と制作されるなど、多岐にわたる活動をされていた高森先生が、突然、執筆を最優先される事件が起こったとお聞きしました。
伊藤 親鸞聖人は、ある人気テレビ番組の中で、「戦後出版された本の中で一番多く語られた、歴史上の人物ベストワン」と紹介されたこともあります。それほど有名で、強い関心を持たれている方なのですが、残念ながら親鸞聖人の教えは今日、大きく誤解されています。そしてとうとう、親鸞聖人の教えの生命線を断つような、重大な誤解が公表されたのです。
── 何があったのでしょうか。
伊藤 平成11年が終わろうとしていた時、「親鸞聖人のファン」を自称するベストセラー作家が、人生の目的をテーマにした本の中で、親鸞聖人のお名前をあげながら、「人生の目的はない」と断言したのです。
── それは、ひどいですね。
伊藤 そうです。親鸞聖人の教えは漢字四字で、「平生業成(へいぜいごうじょう)」といわれます。平生、生きている時に、人生の目的が完成できるという意味です。親鸞聖人ほど「人生の目的はある! だから早く完成せよ」と勧められた方はおられません。逆境に立たされ、「こんな苦しい人生、死んだほうがマシだ」と思っている人は、少なくないでしょう。それらの人に親鸞聖人は、「どんなに苦しくてもあきらめないで。あなたはやがて、大きな幸せに恵まれるのですよ。人生には大切な目的があるのです」と、希望を与えてくださっています。
── 励まされる、温かいメッセージですね。
伊藤 はい。ところが、その親鸞聖人のメッセージとは正反対の、「人生の目的はない」という主張が拡散されたのでは、とても看過することはできません。
── 親鸞聖人の教えを明らかにするために、高森顕徹先生は、『なぜ生きる』のご執筆を始められたのですね。
(『月刊 人生の目的』令和7年1月号より一部抜粋)
続きは本誌をごらんください。
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