因果の道理(いんがのどうり)
「因果の道理」は仏教の根幹
どうすれば、幸せになれるのか。不幸を避けるには、どうすればいいのか。「運命の仕組みを知りたい」と思っている私たちに、その答えを示されているのが、仏教の「因果の道理」という教えです。
仏教とは、約2600年前、インドで、釈迦(ブッダ)が説かれた教えをいいます。
釈迦一代の教えは、7000冊以上のお経となって、今日に伝わっています。一切経と呼ばれます。
それらすべての経典を貫いている教えが、因果の道理です。つまり、因果の道理から外れた教えは一つもないということです。
このことから、因果の道理は、「仏教の根幹」といわれます。
仏教を木にたとえると、根や幹にあたる大事な教えが、因果の道理です。
根がなければ、木は枯れてしまいますし、幹を切ったら、木は倒れてしまいます。
根幹の教えである因果の道理を抜きにして、仏教を理解することはできない、ということです。
この因果の道理が、よく分かれば、生きていく指針を得ることができ、明るく、たくましい人生が開かれることでしょう。
では、因果の道理とは、どんなことでしょうか。
どんな結果にも必ず原因がある
まず「道理」とは、「いつでもどこでも、変わらない真理」をいいます。
「いつでも変わらない」とは、何千年前も、今も、何千年後も通用するということです。
また、「どこでも変わらない」とは、洋の東西を問わず、どの国でも成り立つということです。
時代や場所によって変わるものは、道理とはいいません。古今東西を通じて変わらない真理だけを、仏教では、道理といいます。
次に「因果」とは、「原因」と「結果」のことです。
どんな結果にも、必ず原因があります。原因なしに起こる結果は、万に一つも、億に一つもないと、釈迦は教えられています。
例えば、火災や交通事故が発生した時、問題になるのは、その原因です。
どうして火事になったのか、なぜ衝突事故が起こったのか、結果には必ず原因がありますので、それらを報じるテレビのニュースや新聞記事でも、まず、原因に焦点が当てられています。
原因があるのは、そんな大惨事だけではありません。日常、私たちに起こる結果にも、必ず原因があります。
平らな道で石につまずいて、けがをしたという結果なら、歩きながらスマートフォンを見ていたとか、考え事をしながら歩いていたといった原因が考えられます。財布を盗まれたという結果なら、カバンのファスナーが、きちんと閉まっていなかったなど、必ず原因があったのです。
もちろん、原因が分からないこともあります。
例えば、飛行機が墜落した時、フライトレコーダーを回収できなければ、その原因を特定することは難しいでしょう。しかし、原因がないのに、墜落という結果が現れたのではありません。機長の操縦ミスか、機械の故障か、悪天候の影響か、鳥の衝突(バードストライク)が起こったのか、いずれにしても、必ず原因があったのです。
幸せ、不幸の原因は?
特に仏教では、どのような原因から、幸せや不幸という結果が現れるのか、その因果関係を詳しく教えられています。釈迦は端的に、次のように明示されました。
善 因 善 果 善い因は、善い果(幸福や楽しみ)を生み出す。
悪 因 悪 果 悪い因は、悪い果(不幸や苦しみ)を引き起こす。
自 因 自 果 自分に現れる善果も悪果もすべて自分のまいた因による。
ここで「因(タネ)」といわれているのは「行い」のことで、「果」とは、分かりやすく言えば、「運命」のことです。
「善い行いをすれば善い運命(幸せ)が現れる。悪い行いをすれば悪い運命(不幸)が引き起こる」と教えられています。
(『月刊 人生の目的』令和7年4月号より一部抜粋)
<続きの主な内容>
- ①因果の道理
すべて自業自得
幸せになるには、善い行いを心がけ、善い縁を求めることが大切
- ②出城(しゅつじょう)
若き日の釈迦の悩みは、私たちと同じだった!?
死んでいく時に、明かりになるものがあるのか
- ③仏陀(ぶつだ)
最高の覚りを開き、「ブッダ」となる
「ブッダ」とは「覚った人」のこと
- ④法(ほう)
仏教の「法」とは、時空を超えた真理
- ⑤成仏(じょうぶつ)
最高の智慧を体得した仏になることを「成仏」という
「誰でもブッダになれる」と釈迦は教えた
全文は本誌をごらんください。
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