「何のために生きるのか」
誰もが直面する問題
「人生の目的」を知るには、まず「人生」の実態をよく知らなければなりません。そこで「人生」を「海」にたとえて、分析を続けています。名聞利養(評判とお金)に代表される、私たちが求めている幸せは、海面に浮いている丸太ん棒や板切れのようなものです。それらは生きるために必要なものですが、自分をいつまでも支えてくれるものではありません。思わぬ方角から波に襲われると、せっかくの丸太に見放され、塩水を飲んで苦しまなければならないのです。私たちは、財や地位という丸太を手に入れようと一生懸命ですが、それらはいつか必ず、自分から離れていきます。「生きる」とは、「失うこと」なのです。
考えたくないことですが、人は生まれてから死ぬまで、大切なものを失い続けます。
まず「生きる」とは、「時間」という貴重な財産を、刻々と失うことです。やがて「若さ」を失い、老いていかなければなりません。高齢になれば体も弱り、「健康」を失って病気になりやすくなります。そして最後、最も大切な「命」を失って、死んでゆくのです。
「失う日」が来ることを、忘れていないだろうか
私たちは、お金や地位、恋人を得ることなど、さまざまな目標に向かって努力しています。しかし、手に入れることばかり考えて、失う日が来ることを忘れていないでしょうか。
「恋愛」を例に挙げましょう。街で若い男女が楽しそうに会話をしているのを見たら、ついうらやましくなるかもしれません。しかし二人の愛情は、いつまで続くのでしょうか。
恋の結末は、結婚か失恋であり、後者が圧倒的に多いのです。
(『月刊 人生の目的』令和6年11月号より一部抜粋)
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苦しくても、なぜ生きるのか
その答えは『歎異抄』に
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◯ 私たちは、なぜ生きるのか 哲学者・伊藤健太郎
Q.80歳を超えて、介助が必要な父と母の、やりとりが心配です
◯ こころの相談室 心療内科医・明橋大二