「厄年」は根拠のないでたらめである~米沢藩主 上杉鷹山~

アメリカのケネディ*大統領は、「日本で最も尊敬する政治家は誰ですか」と聞かれた時に、「上杉鷹山(ようざん)*です」と答えたといわれています。はたして、大統領が尊敬するほどの日本人とは、どんな人物だったのでしょうか。

上杉鷹山は、江戸時代中期の米沢藩(現在の山形県東南部)の藩主でした。破産寸前だった藩の財政を建て直したことで知られています。

また、迷信の撤廃にも積極的でした。長年の慣習でも、根拠のないものは一笑に付して捨て去っています。中でも「厄年」にまつわる無駄遣いを廃止した理由を、次のように書き残しています(意訳)。

*    *

男は15・25・42・62歳。女は13・19・33歳。

これを俗に厄年と称し、必ず苦しみや災いが起こるという。だから、厄年を迎えたら「祈祷して害を除かなければならない」とか、「親戚や友人が集まって祝えば凶が吉に転じる」などと言っている。

しかし、これらには何の根拠もない。でたらめである。厄年であろうとなかろうと、人間は、いつ病気にかかったり、死んだりするか分からない。「年」そのものに、吉凶など、あるはずがないではないか。

善を行えば幸福に恵まれ、悪を行えば災いが起こる、これは道理である。

悪を犯したり、人に危害を加えたりした者は、どれだけ祈っても、悪果*を免れられるはずがない。

また善に励み、人のために尽くしている者ならば、祈らなくても幸せを得ることができるはずだ。これは、極めて明らかなことである。

私は来年、二十五歳の厄年を迎える。まず私が率先して、この悪弊を撤廃しよう。厄年に該当する者たちの、祈祷料などの総額は莫大なものになるはずだ。この無駄遣いは、何としても防がなければならない。

*    *

仏教では、因果の道理に反するものは、すべて迷信だと、2,600年前から教えられています。 江戸時代に、このように断言して迷信を撤廃した上杉鷹山も、仏教を学んでいたのでしょう。

鷹山が、迷信を排斥した例を、もう一つ紹介しましょう。

ある村に、双子の女の子が生まれた時のことでした。

*ジョン・F・ケネディ(1917 〜1963)アメリカ合衆国第35代大統領
*上杉鷹山(1751 〜1822)第10代米沢藩主
*悪果……悪い行いの報い、不幸や災難

(『月刊 人生の目的』令和7年2月号より一部抜粋)

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