俳優・声優
山口晃史さん(66)
テレビやラジオのコマーシャルで、毎日のように、山口晃史さんの声を耳にしている人が多いのではないでしょうか。例えば「キリン一番搾り」「ソフトバンクエアー」「P&G アリエール」「京都銀行」「中国電力」……。
山口晃史さんは、大手企業のコマーシャルのナレーションだけでなく、俳優として、映画「木村家の人びと」、テレビドラマ「君の名は」「宝引の辰」など、多くの作品に出演してきました。
そんな山口さんが、パーソナリティを務めているラジオ番組が、全国35局で毎週一回放送されている「1万年堂出版の時間」です。
番組の中で、山口さんは令和4年2月から『歎異抄ってなんだろう』の朗読を続けてきました。そして、今年4月からは『人生の目的』の朗読がスタートし、大きな反響を呼んでいます。
優しい語り口が人気の山口さんに、朗読で心がけていることや、書籍の感想をお聞きすると……。
「若い頃から、『なんで生きるんだろうな』ということを、ずっと考えてきました。私が知りたかった答えが『歎異抄』にあったのだと気づく機会を頂いたことに、大変感謝しております」
と答える山口さん。40年以上の芸能生活から見えてきたものとは?
(聞き手 山崎豊)
内容に即した読み方をしたい
── 山口さんは、30歳頃から、テレビやラジオのコマーシャルで、ナレーションをされてきましたね。
山口 はい。ナレーションには、面白みがあります。
声優のナレーションを聴いていると、過剰なニュアンスがついていることがあります。「自分は、ああじゃいけない」と思って、書かれている内容に即した読み方をしようとすると、コマーシャルの世界では、意味もなく「印象づけをしろ」「ニュアンスをつけろ」と要望されることが多いのです。例えば「おいしい」を、感情を込めて「おいしい!」と言わなければならない時があります。
嫌だなと思っても、「おいしい!」と言わなければなりません。そうすると、いくらか評価されて、「山口は、嘘八百はできないけど、二百くらいならできそうだ」と言われて仕事をしてきました。
でも、内容に即した読み方をしたいという欲望は常にありました。それは芸に対する欲望です。
だから、現在、ラジオで放送中の、『人生の目的』の朗読は、大きな喜びを持ってやっています。書籍に書かれている内容を、そのとおり伝えるのが第一の使命だと思っています。私はまだ、『人生の目的』の内容を完全に理解できたわけではありません。これから学んでいくところですが、私なりに、精一杯、朗読していきます。
── 『人生の目的』には、「人間とは如何なる者か」を説かれたブッダの譬え話と、その詳しい解説が掲載されています。山口さんは、ブッダの譬えの、どこに引かれましたか。
山口 これまで私は、人生を考える時、
「人間の欲にはきりがない」
「人間は必ず死ぬ」
この二つの重大な問題が頭から離れませんでした。
そういう人間の姿が、この本にはズバリ書かれているので驚きました。
しかも、私たちは、そういう問題から目をそらそう、見ないようにしようとしています。それはまさに、譬え話の中で、旅人がハチミツをなめて危機を忘れようとしている姿と同じだと思います。
(『月刊 人生の目的』令和6年6月号より一部抜粋)
続きは本誌をごらんください。
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