東海道での出会い(3)親鸞聖人の教えを飛驒へ伝えた嘉念房

合掌造りで有名な、岐阜県北部の飛騨地方は、真宗王国といわれ、浄土真宗の盛んな所でした。「すべての人を、この世から永久に変わらぬ幸せに救う」と誓われた、弥陀の本願を、飛騨の人々に伝えることに生涯をかけたのが、親鸞聖人のお弟子、嘉念房善俊(かねんぼうぜんしゅん)です。 

嘉念房の銅像。荘川桜の近くに建っている

嘉念房とは、どんな人だったのでしょうか。岐阜県高山市荘川町の、御母衣湖(みぼろこ)のほとりに銅像がありますので、訪ねてみましょう。

(中略)

私が訪れた時は、桜の木と銅像の周りは、まだ、厚い雪に覆われていました。銅像の前へ行ってみると、嘉念房の経歴が次のように記されていました(要約)。

「嘉念房は、後鳥羽上皇の息子であり、浄土真宗の祖師・親鸞聖人の直弟子です。師の命によって白川郷に入り、鳩谷に聞法道場を建立し、親鸞聖人の教えを伝えました。これが、飛騨における浄土真宗の始まりです。嘉念房は照蓮寺の開基にあたります」


後鳥羽上皇といえば、今話題の映画『親鸞 人生の目的』にも描かれているように、京都で浄土仏教を弾圧した権力者です。 親鸞聖人の法友を死刑にしただけではありません。法然上人を土佐(現在の高知県)へ、親鸞聖人を越後(現在の新潟県)へ流刑にした張本人でもあります。なぜ、そんな権力者の息子が、親鸞聖人のお弟子になったのでしょうか。もっと詳しく調べてみましょう。

(『月刊 人生の目的』令和7年5月号より一部抜粋)

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