「そうだ 京都、行こう。」
JR東海のキャンペーンで、真紅のモミジに彩られた風情が話題になった安楽寺は、歴史に残る大事件の引き金になった場所でもあります。
法然上人、親鸞聖人が無実の罪で罰せられ、京都から追放されたのです。
日本史上最大の宗教弾圧であり、吉川英治は、小説『親鸞』に、事件の経緯をドラマチックに書いています。
また、アニメ『世界の光・親鸞聖人』には、なぜ弾圧が起こったのか、その真相が詳しく描かれています。
これまで何度も安楽寺を訪ねましたが、いつも山門に「拝観謝絶」と記されていました。春と秋など、限られた日にしか一般公開していないのです。
それが今回、この連載の取材計画を立てている時に、「安楽寺が7月25日に寺宝を公開する」という情報をキャッチしたので、早速、京都へ出発しました。
安楽寺は、京都市の東側に連なる山の中腹、鹿ケ谷にあります。JR京都駅前から地下鉄で丸太町まで行き、市バスに乗り換えて真如堂前で降りました。ここから目の前にそびえる山へ向かいます。
ふもとには、小川に沿って「哲学の道」という名の遊歩道があり、観光名所になっています。猛暑にもかかわらず多くの人が散策していました。
さらに坂道を上り、鹿ケ谷を目指します。「鹿ケ谷」と聞くと『平家物語』に出てくる「鹿ケ谷の陰謀」を思い出す方が多いのではないでしょうか。
実際、道路脇に「此奥 俊寛山荘地」と刻まれた石柱が建っていました。この辺りは、平家打倒の密談が行われた俊寛の山荘があった所なのです。
やがて、ひっそりたたずむ安楽寺が見えてきました。意外にも寺の前で「鹿ケ谷カボチャ」が売られています。ひょうたんのような、おもしろい形をしています。京の伝統野菜だそうです。
カボチャのそばに建っている石碑には、「住蓮山安楽寺」とあります。その名のとおり、住蓮房と安楽房の二人が開いた寺でした。
彼らは、法然上人のお弟子であり、「どんな人をも、必ず助ける、絶対の幸福に」と誓われた阿弥陀仏の本願こそ、真実の仏教であると知らされ、鹿ケ谷を拠点として、熱心に布教していたのです。
山門から中へ入ると、境内には背の低いツツジやサツキの木が多く植えられていました。春になると、美しい花を咲かせるのでしょう。
本堂は、こぢんまりとした造りなので、20人ほどの人が、入れ替わりながら、中へ入っていきます。
住職は、壁に掲げてある大きな絵伝を指し、この寺で起こった事件の顛末を簡単に説明していました。この掛け軸には、一つの場面ごとの絵が描かれています。絵伝を見せながら、昔から、参詣者に話をしてきたのでしょう。
では、約800年前に、いったいここで、何が起こったのでしょうか。
(『月刊 人生の目的』令和6年9月号より一部抜粋)
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