Q孫が自分で自分の腕に、多数の傷をつけています。どう関われば……

70代・女性

先日、中学2年の孫娘が家に来たのですが、その時に、左腕に多数の傷があるのを見つけました。「どうしたの?」と聞くと、「けがした」と言いましたが、おそらく自分で傷つけたものと思います。娘(孫娘の母親)に言おうかと思いましたが、昨年娘も離婚し、その時私が離婚に反対したこともあって、少し疎遠になっています。今後どのように関わればよいでしょうか。

明橋大二先生

腕の多数の切り傷というと、この方の言われるとおり、お孫さんはおそらく自分で傷つけたのではないかと思います。「自傷行為」ともいい、手首を傷つけることを「リストカット」といいます。「リスト」とは「手首」、「カット」とは「切る」ということで、心療内科ではしばしば診る症状の一つです。

また学校現場でも、養護教諭がよく出合う症状の一つで、調査によれば、中学校の養護教諭のなんと99パーセントが、生徒のリストカットなどの自傷行為に対応したことがあると答えています。

カッターナイフや自分の爪で傷つけてできる比較的浅い傷が多く、それ自体で死に至ることはまずありません。ただそれでも、精神的にかなり追い詰められている時に出てくる症状であることは間違いなく、たいていは心の底に、死にたい気持ちを抱えていることが多いです。

「『死にたい死にたい』と言っている人間に限って死んだためしがない」と放言する人がありますが、そんなことはありません。むしろ、自傷行為や「死にたい」という発言は、自殺リスクと密接に関連しているといわれています。

令和6年の小中高生の自殺者(暫定値)は、527人と、過去最多を更新したことが報道されています。子どもの数はどんどん減っているのに、子どもの自殺の数は、実数として増えている、これが現在の日本の実態です。日本において10歳から19歳の死因の第一位は自殺であり、このような国は、G 7*の中でも、日本だけです。いかに日本の子どもたちが、生きづらさを抱えているか、私たちは真剣に受け止める必要があると思います。

ですから、リストカットが直ちに自殺につながるわけではありませんが、しかし決して放置してはいけない、大切な子どもの心のSOSととらえる必要があると思います。

*G 7……主要7カ国

(『月刊 人生の目的』令和7年4月号より一部抜粋)

<続きの主な内容>

  • なぜ自傷行為をするのか
  • 子どもの自傷行為への基本的な5つの対応
  • 子どもの心に向き合えば、子どもも救われるし、親も楽になれます

全文は本誌をごらんください。


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