夫は定年退職して家にいるのに家事は妻の仕事と思っています
夫は65歳で定年退職してから、特に仕事もせず、家でのんびり過ごしています。しかし、家事や食事の支度は相変わらず私の仕事と思っているようで、たまに私の帰りが遅くなる時など、「晩ごはんは?」と聞いてきます。息子も30歳を過ぎていますが、結婚する気配もなく、食事作りや洗濯は全部私がやっています。私も体が動くうちは、とパートに出ていますが、仕事から帰ってきても、たまった家事をこなさなければならず、正直言って、体がしんどいです。これからどうしていけばいいでしょうか。
家事を担うメリットを、ぜひ、夫や息子にも分けてあげましょう
定年を過ぎて、一日家にいるのに、家事や食事の支度は妻の仕事だと思い込んで、妻に任せっきりの夫。もういい大人になっているのに、食事の用意や洗濯はすべて母親の仕事だと思い込んで、母親に頼りっきりの息子。そのかたわらで、ちっとも減らない家事仕事に、心身共に疲れきっている相談者のような方は、現代の日本で、決して珍しくないのではないかと思います。
もちろん、妻のしんどさに気づかない夫、母親に任せきりの息子にも問題はありますが、しかしこのようになっているのには、この相談者の方の行動にも原因がありそうです。
どういうことかというと、この相談者の方は、いろいろと不満を抱えながらも、結局は、夫や息子の世話をしてしまっている、ということです。
奥さんとしては「これだけ忙しくしているんだから、ちょっとは気づいて、手伝ってよ」というお気持ちだと思います。確かにそれはそのとおりなのですが、実際、では夫や息子が、今の状況のままで奥さんの大変さに気づくかというと、ほとんど気づきません。
「実際、現にやっている」ということは、「できるんだ」と思ってしまうのです。人間とは、そのように、何事も自分の都合のよいように解釈してしまう生き物なのです。
ですから、この状況を変えるためには、奥さんがまず行動を起こして、「自分はもう体がつらいから、できない」と宣言して、家族に状況を知ってもらう必要があると思います。
しかし、いきなり「できない」「だからやって」と言われても、今までやったことのない家事をできるはずはありません。洗濯機のボタンの押し方、IH調理器の使い方さえ、分からない人たちです。
ですから、最初は一つ一つやり方を教えなければならないと思います。
「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、誉めてやらねば人は動かじ」と言った人がありましたが、これは子育てだけでなく、人を動かす時には必要な心得でしょう。
「そんなめんどくさいことするくらいなら、自分でやったほうがよっぽど早いわ」と思われると思います。そうおっしゃる気持ちもよく分かります。しかし、このような状況が1、2年続く程度ならいざ知らず、これから10年、20年続くとしたらどうでしょう。そう考えれば、面倒でも、今、家事をしっかり仕込んでおいたほうが、後々きっと楽になるのではないでしょうか。
家事を担うことは、実は、夫や息子のためにも、とてもいいことなのです。
(『月刊 人生の目的』令和7年1月号より一部抜粋)
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