65歳・女性
ひきこもっている息子にどう関わったらよいでしょうか
私の息子は35歳になりますが、大学を卒業していったん就職したものの、上司のパワハラにあって辞めてしまい、そのまま10年近く、仕事もせず家にひきこもっています。最初の頃はアルバイトに行ったりもしたのですが、最近はそのような様子もなく、ほとんど自分の部屋で過ごしています。親も次第に高齢となり、今後のことが心配です。どう関わったらよいでしょうか。
明橋大二先生
ひきこもりは、どんな家庭のどんな子どもにも起こりうることです
いわゆる「社会的ひきこもり」は、1970年代後半から増加し、内閣府の推計では、現在、全国で約115万人といわれ、大きな社会課題となっています。
「社会的ひきこもり」の定義は、次のようになっています。
1.6カ月以上社会参加をしていない
2.非精神病性の現象である(いわゆる統合失調症やうつ病を除く)
なお、外出していても対人関係がない場合は、ひきこもりと考える、とされています。
比較的男性に多いといわれてきましたが、女性についても、「家事手伝い」などの名目で、男性ほど問題化しないだけで、女性にも決して少なくないといわれています。
きっかけはさまざまですが、少なくとも「親の育て方」や「子どもの性格」の問題ではなく、どんな家庭のどんな子どもにも起こりうる現象です。
最近は、ひきこもりの長期化、高齢化が問題となっており、いわゆる「8050問題」といわれ、80代の親が50代のひきこもりの子どもの面倒を見ていることも少なくありません。
今は、価値観の多様化の時代で、ひきこもりも一つの生き方と考え、問題視するべきではない、という意見もあります。
確かに、本人が自らひきこもりという生き方を選択し、それに意味を見いだしているなら、特に支援は必要ないでしょう。昔から、世俗を離れて隠遁生活を送る人もありました。
しかし、現代のひきこもりは、多くの人が、自分を責めていて、苦しんでいます。表面上、悠々自適の生活を送っているように見えても、内心は無力感と罪悪感にさいなまれて、自分には生きている価値がないとどこかで思っています。
そういう人には、私たち心療内科医は何らかの支援が必要だと考えています。
(『月刊 人生の目的』令和6年12月号より一部抜粋)
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