定年まで頑張ったのに、孤独を感じるようになりました
妻を5年前に亡くし、とにかく定年までは頑張って働こうと仕事に打ち込んできました。子どもも自立し、今回、退職を機に一人で住んでいた家を売り払い、駅前のマンションに引っ越しをしました。
最初は住居の管理も楽で、駅にも近く便利だと思っていたのですが、急に孤独を感じるようになりました。自分にはどこにも居場所がない、自分を必要としてくれる人は誰もいないと思うと、とても寂しい気持ちになります。これから私はどのように生きてゆけばいいでしょうか。
現在、「孤独・孤立」の問題は、大きな社会問題であるだけでなく、健康問題でもあることが知られるようになってきました。
2010年にアメリカで発表された研究によれば、社会とのつながりが弱い人は、強い人よりも死亡リスクが約1.9倍となることが明らかになっています。喫煙は約1.6倍、過度の飲酒が約1.4倍、肥満が約1.2倍であることを考えると、社会とのつながりの欠如は、喫煙や過度の飲酒、肥満よりも大きな健康リスクがあることが示されたのです。
その後、さまざまな研究が進み、孤独は、冠状動脈性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、高血圧、脳卒中、認知症、うつ、不安などのリスクを高めるという報告も出ています。
私たちは今まで、タバコが健康によくない、運動不足が健康によくない、ということはよく聞かされてきましたし、実際に禁煙については、社会全体でかなり取り組みが進みました。しかし「孤独」がそれ以上に健康によくない、ということを、私たちは意外と見過ごしていたのではないでしょうか。しかし今や孤独は、世界中で、最大の健康リスクとして認識されるようになってきたのです。
「孤独」とは、自分にとって大切なものが欠けているという感覚
ここで「孤独」と「孤立」の違いについて、一言述べておきましょう。
「孤独」とは、自分が求める社会とのつながりが欠けているという主観的な感覚をいいます。それに対して、「孤立」とは、物理的に一人であり、周囲との交流がない状態をいいます。
孤立は孤独につながりやすいですが、孤立している人がみんな孤独を感じているのかというと、そうではありません。一人で創造的な仕事に打ち込んでいる時には、孤立はしていても、孤独とは感じていないでしょう。逆に、たくさんの人と一緒にいても、孤独を感じることはあると思います。
(『月刊 人生の目的』令和6年5月号より一部抜粋)
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