花咲く書道家
永田紗戀(ながたされん)さん
映画『親鸞 人生の目的』の冒頭には、白い雪を冠した立山連峰がスクリーンいっぱいに映し出されます。
やがて壮大な音楽とともに、「親鸞」の二文字が、緑の大地から羽を広げて飛び立つように浮かび上がります。
この映画の題字「親鸞」を揮毫したのが、書道家の永田紗戀さんです。女性ならではの、絵のような自由な書風は、「花咲く書道」と呼ばれ、書の世界に新風を吹き込んでいます。永田さんは、この映画の題字に、どんな思いを込めたのでしょうか。3月17日に、千葉県浦安市にある永田さんのアトリエを訪ねてインタビューしました。
映画『親鸞 人生の目的』のオープニング場面
親鸞聖人は、とても身近な方
── 映画『親鸞 人生の目的』は、2月28日から全国で順次、上映が始まっています。永田さんは、すでに2回も映画館で見られたそうですね。
永田 はい。私は題字を書くために事前に台本を読み、ストーリーを知っていましたが、完成した映画を見て、とても感動しました。絵が、美しいですね。圧倒されました。「この時代に、自分がいたら」と、どんどん映画の世界へ入り込んでいきました。
── 永田さんが書かれた映画の題字「親鸞」を最初に見た時、「あれ? なんて書いてあるのだろう」と思うと同時に、「おもしろい字だな。楽しそうだな」と、心がわくわくしてきました。
永田 映画の台本を読んで、親鸞聖人は、とても芯が強く、しかも伸びやかで、自由な方だと感じたのです。だから、「親鸞」の一つ一つの文字を、羽を広げて飛び立つイメージで書きました。
「親鸞」の二文字は、力を入れて書くと迫力のある字になりますが、それでは、この映画の内容に合わないように感じたのです。
映画の題字を見た人が、すぐに読めなくても、自由な形の書になっていると、「なんだろう?」と思い、より興味を持ってもらえる効果があると思います。
「これは、なんて書いてあるのですか?」と聞く人があれば、「親鸞と書いてあるのですよ」と言って、話をするきっかけになるのではないでしょうか。
書道でいえば、きれいな文字が並んでいる楷書の展覧会と、「絵みたいだな。なんて書いてあるのかな?」という書の展覧会と、どちらに足を止める人が多いでしょうか。それは、読めなくても、自由な形になっているほうだと思います。
── 硬い文字で「親鸞」と書いてあると、近づきがたい高僧という印象を与えるかもしれませんね。
永田 そうですね。親鸞聖人は、私たちにとって身近な方だと思います。この作品は、宗教とか歴史という映画ではなく、「親鸞さんが好き!」と思える映画ですね。
(『月刊 人生の目的』令和7年5月号より一部抜粋)
続きの主な内容
- 【解説】夏目漱石も絶賛した大革命
- 映画の随所に、人間らしい「愛」がある
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雨の日も風の日も、聞法に通われた親鸞聖人
◯ アニメ映画『親鸞 人生の目的』に学ぶ 歎異抄の旅 特別編
「結婚すれば幸せ」は、大いなる錯覚
◯ 私たちは、なぜ生きるのか 哲学者・伊藤健太郎
Q.同じことを尋ねたり、約束を忘れたりすることが増えてきた父が心配です
◯ こころの相談室 心療内科医・明橋大二