真生会富山病院
真鍋恭弘院長
「医師も看護師も職員も、とても優しくて、親切だ」という評判が高まっている病院が、富山県射水市にあります。
仏法に説かれている自利利他の精神に基づき、安心と満足の医療を目指す真生会富山病院です。その取り組みは海外からも注目され、各国から医療関係者が、毎年のように視察や研修に訪れています。
人種や国を超え「平等でかけがえのない尊い命」を守るための交流が、真生会富山病院を舞台に続いているのです。
真鍋恭弘院長は、「今、求められているのは、病気が治らなくてもみんなが幸せになれる医療です。私たちは、どんな人にも誠心誠意の医療を精一杯行います。治らない患者さんでも笑顔になられるまであきらめません」と、方針を語ります。
超高齢社会に突入した今、医療の現場では、どんなことが課題となっているのでしょうか。真生会富山病院が目指す医療について、真鍋院長にインタビューしました。
医療の目的は幸福であり、病気を治すことではない
── 真鍋院長は、「医療の目的は、病気を治すことではない」とおっしゃいますね。意外な感じを受けました。
真鍋 医療は、めざましい進歩を遂げ、多くの病気を克服してきました。それは素晴らしいことです。
しかし、まだ、治すことのできない病気はたくさんあります。治らない病気で苦しみ、生きる意味を見失っている人が、非常に多いのが現実です。
病気を治すことだけが医療の目的になっていたら、どうなるでしょうか。治る見込みのない患者さんには、「もう、これ以上は、医療の施しようがありません」と言って、見放してしまうケースも出てくるのではないでしょうか。
── 実際に、そのようなことが起こっていると思います。
真鍋 医療の目的は、患者さんを幸福にすることです。「病気が治らなくても、みんなが幸せになれる医療」が求められているのです。
── 真生会富山病院では、どのように取り組んでおられるのですか。
真鍋 病院の基本方針として、「患者の皆様と共に笑顔のあふれる病院を目指します」と掲げています。
この中には、「治らない患者さんでも笑顔になれる病院を目指しましょう」という意味が含まれています。
ガンという病気ひとつをとっても、二人に一人は治りません。治らない患者さんと、どうしたら共に笑顔になれるのか。私たちには真剣に取り組んでいく義務があります。
そのためには、まず、生命の重さを心から尊重する気持ちを持ち、患者さん、ご家族に寄り添い、共感し、サポートしていくことに努めています。
「あなたたちに会えて幸せだった」と共感の笑顔を頂けるような病院、医療スタッフになりたいと思っています。
1月の能登半島地震の際、医療救護班として現地に出動したメンバーです。
危険を伴う活動ですが、自利利他の精神を発揮し、重要な任務を果たしてきました。
メンバーの一人は「被災者の方々との心の交流や活動チームの絆は、この先も忘れることはない大切な宝物です」と、貴重な体験を語っていました。
「患者さんの幸せが、そのまま私たちの幸せに」
── 「医療の目的は、患者さんの幸福」と、はっきり打ち出すことは、大切なことなのですね。
真鍋 ところが、どこの病院でも、簡単にできることではないのです。
なぜなら、これまでの医療は、「人々を健康にする」ことに力を尽くしてきましたが、「どうしたら幸福になれるのか」という、一番大切なことを考えることがなかったのです。
ですから、患者さんの幸福を大切にする医療を根底から支える「哲学」や「思想」を導入しないかぎり、実現させることはできないのです。
(『月刊 人生の目的』令和6年12月号より一部抜粋)
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自利利他の精神で、命を守る
病気が治らなくても、みんなが幸せになれる医療を
◯ 真生会富山病院
真鍋恭弘院長にインタビュー
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