【インタビュー】芸術の国・フランスに、「なぜ生きる」の答えはなかった

オーク出版 編集長
張 嘉芳(チョウ ジャーファン)さん

「アニメ映画『なぜ生きる』*の原作書籍を、ぜひ、台湾で発刊させてください」

熱い気持ちで、ベストセラー『なぜ生きる』の著者に申し込んでこられたのが、オーク出版の編集長・張嘉芳さんでした。

中国語(繁体字)に翻訳された『なぜ生きる』が、台湾で発売されたのは昨年7月。各地の有名書店に平積みで展示され、大きな反響を呼んでいます。

張編集長に、「この本に注目した理由を聞かせてください」とインタビューを申し込むと、「ぜひ、お話ししたいことがありますので、私が日本へ行きます」と返事があり、驚きました。

8月4日、富山でお会いすると、彼女は、「芸術の国・フランスへ留学した時に、計り知れないむなしさ、孤独感に苦しみ、『生きる意味』を真剣に問わずにおれなくなったのです」と語り始めました。

張嘉芳 カアル・ブッセの詩「山のあなた」は、まるで、私の紆余曲折の人生を表しているようです。

張嘉芳 私は幼い頃から、ひといちばい敏感で、独りになることを恐れていました。

人はやがて必ず死ぬ、両親だっていつまで私と一緒にいてくれるか分からないと思うと、夜も眠れなくなり、ひそかに涙を流していました。

学校で勉強していた頃は、競争するのが苦痛で、楽しいと感じたことはありません。数学や理科は苦手でしたが、外国語は好きでした。中学卒業後に外国語の学校に通い始めると、人生が少しリラックスした感じになりましたね。

張嘉芳 子どもの頃から西洋の芸術、映画、文学に深く引かれていました。特に、フランスの文化は、ロマンチックな情熱にあふれています。私はフランスに限りないあこがれを抱くようになったのです。

フランス人は自由で想像力があり、正義感に基づいた社会を作っていると信じていました。フランスに行って生活することができたら、どんなに素晴らしいだろうと思っていました。

張嘉芳 最初のきっかけは、大学の授業中のことでした。教授が、さも得意げに、ある文学作品に関する自分の解釈を、延々と語り続けていました。その時、頭の中に、「こんなこと、生きるうえで、何の意味があるのか!」と、イナズマのように閃光が走ったのです。 授業が終わって、この問いかけを紙に書き留めた時、漠然とした不安と恐怖を感じました。

これまで自分がやってきたことに対して、「生きるうえで、何の意味があるのか!」と問いかけると、ほとんど意味を失ってしまうように感じたからです。

しかし、そのような思いは、いつの間にか、ほかのことに気を取られ、どこかに埋もれていきました。

*日本で2019年に公開されたアニメ映画『なぜ生きる〜蓮如上人と吉崎炎上』は、2021年に台湾で上映された

(『月刊 人生の目的』令和6年10月号より一部抜粋)

続きは本誌をごらんください。


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