「四苦八苦」幸せへの第一歩は、苦しみの波を見つめるところから

親鸞聖人(しんらんしょうにん)は、波の絶えない海のように、苦難・困難・災難が次々にやってくる人生を「難度海(難度の海)」と教えておられます。

苦しみの波を一つ乗り越えて、「やれやれ」と安心しても、すぐまた別の波に襲われます。いじめ、失業、借金、離婚、介護、人間関係のトラブル……。

時には、二つや三つの波と同時に闘わなければならないこともあります。

約2,600年前、インドで仏教を説かれた釈迦は、難度海に押し寄せる苦しみの波を「四苦八苦」と教えられました。いつの時代、どこに生まれた人であっても、次の八つの苦しみからは逃れることができない、と説かれているのです。

・生苦(しょうく)
・老苦(ろうく)
・病苦(びょうく)
・死苦(しく)
・愛別離苦(あいべつりく)
・怨憎会苦(おんぞうえく)
・求不得苦(ぐふとっく)
・五陰盛苦(ごおんじょうく)

この「四苦八苦」という言葉は、「資金繰りに四苦八苦している」「失言の後始末に四苦八苦」などと、日常でも使われています。しかし、語源は仏教です。本来、釈迦が教えられた「四苦八苦」とはどんなことなのか明らかにしていきます。

まず「生苦」とは、生きる苦しみです。

釈迦は、私たちが生きていることそのものが、苦しみだと教えられているのです。

「越えなばと 思いし峰に きてみれば なお行く先は 山路なりけり」

と歌った人があります。

懸命に生きて一つの山(苦しみ)を乗り越えても、すぐ次の山が現れます。進学、就職、結婚、育児、出世、厳しいノルマ、借金の返済など、いつまでたっても、「山」との闘いは終わりません。

そもそも、生きていくには、お金がかかりますから、働かなければなりません。

毎月のローンに加え、治療費や教育費など、必要経費はかさむ一方で、心身ともに疲れ果てている人も少なくないのではないでしょうか。

(『月刊 人生の目的』令和6年5月号より一部抜粋)

続きは本誌をごらんください。


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