シェークスピア「四大悲劇」の最高峰|「リア王」に見る『歎異抄』の真実

「シェークスピア」といえば、世界的に有名な劇作家です。

「名前は聞いたことがあるけれど、どんな作品を書いたのかな?」と思われる人もあるでしょう。

シェークスピアが活躍したのは約400年前のロンドンでした。

悲しい恋物語「ロミオとジュリエット」や、四大悲劇の「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」など、多くの作品を世に送り出しました。しかも、時代や国境を超えて、世界中で上演が続けられているのです。

その最大の魅力は、欲や怒りの心に振り回されている人間の姿と、どんな幸せも続かない実態を、赤裸々に描いている点にあると思います。

今回は、イギリスの首都・ロンドンを訪れ、四大悲劇の最高峰といわれる「リア王」を取材することにしました。

「リア王」の物語をよく見ると、そこには、親鸞聖人(しんらんしょうにん)の『歎異抄(たんにしょう)』と、蓮如上人(れんにょしょうにん)の『御文章(ごぶんしょう)』の教えに、ぴったり当てはまる人間の姿が描かれていることに、驚かざるをえませんでした。

シェークスピアの「リア王」が最初に上演されたのは、このテムズ川沿いの劇場・グローブ座だった(ロンドン)

(中略)

(中略)

シェークスピアの「四大悲劇」の中でも、最大の悲劇といわれるのが「リア王」です。

どんな悲劇なのでしょうか。

登場人物の関係が複雑なので、リア王の境遇の変化を簡単にまとめ、シェークスピアが何を訴えたかったのかを探ります。(以下、意訳)

グローブ座の内部。写真の右側が舞台。1階から3階までの客席のほかに、中央の土間にも立ち見で約700 人が入ることができる

舞台は古代のイギリス、主人公は国王のリアです。

高齢となったリア王は引退を決意しました。そして老後は、子どもたちの世話になりながら、死ぬまで安楽に過ごしたいと願っていたのです。

リア王は、まず、自分が生涯かけて築き上げた国と財産を、愛する子どもたちに分け与えました。そうすれば、子どもたちが自分を大切にしてくれると信じていたからです。

国王の位も、財産も手離したリアは、長女の館で、悠々自適の生活を始めます。しかし誰も、自分が国王であった時のように敬意を払って接してくれません。次第に、「厄介な老人」という扱いを受けるようになりました。

長女までもが、「お父様の言うとおりにしたら、経費ばかりかかります」と苦情を言う始末。

父として、リアの怒りが爆発します。

「おまえは、本当に俺の娘か! 財産を分けてやったのに!」

リアは、百人の従者を連れて館を飛び出し、次女の元へ向かいました。

次女ならば、自分を大事にしてくれると信じていたのです。ところが次女は、館の中にさえ入れてくれません。

リアは、わが子の前にひざまずき、「この年寄りに、着る物と、寝床と、食べる物を恵んでくれ」と頼みます。

あきれた次女は、「その言い方は嫌味でしょうか。月末までは、姉の館に住むお約束のはず。すぐに、姉の所へ戻ってください」と突き放したのです。

稲妻が光り、雷鳴がとどろき始めました。嵐が近づいているのです。

リアは、「子のためを思い、すべてを分け与えた老いた父を、嵐の中へ放り出すのか! 気が狂いそうだ」と叫び、独りで、荒野をさまよいます。

すべてを失って絶望したリアは、激しい風雨の中を、寒さに震えながら歩くのでした。

やがて、リアは、嵐の荒野で、裸同然の男に出会い、こう叫びます。

「人間、外から附(つ)けた物を剥(はが)してしまえば、皆、貴様と同じ哀れな裸の二足獣に過ぎぬ」 『リア王』シェイクスピア(著)福田恆存(訳)

このセリフに、シェークスピアが「リア王」で訴えたかったテーマが示されています。

幸せになりたいと思って、生涯かけて築いてきた地位や名誉、財産などは、やがて私たちから離れていく時が来ます。

現実を目の当たりにしたリアは、「それらは、孤独で哀れな人間の姿を、ごまかすための装飾にすぎなかった」と、思い知らされたのでした。

しかも、人生の最期には、最大の悲劇が待ち受けています。

『歎異抄をひらく』の中で、高森顕徹先生は、次のように教えられています。

    ◆     ◆

病にかかれば妻子が介抱してくれよう。財産さえあれば、衣食住の心配は要らぬだろうと、日頃、あて力にしている妻子や財宝も、いざ死ぬときには何ひとつ頼りになるものはない。一切の装飾は剥ぎ取られ、独り行く死出の旅路は丸裸、一体、どこへゆくのだろうか。


蓮如上人、乱打の警鐘である。

ふっと死の影が頭をよぎるとき、一切の喜びが空しさを深め、“なぜ生きる”と問わずにおれなくなる。

“死の巌頭(がんとう)にも変わらぬ「摂取不捨(せっしゅふしゃ)の利益(りやく)」*こそが人生の目的”

親鸞聖人のお言葉が、真実性をおびて響いてくるのではなかろうか。

     ◆     ◆

「リア王」が、初めてロンドンのグローブ座で上演されてから400年以上たった今日でも、多くの人に衝撃と共感を与え続けているのは、ごまかしようのない人間の姿が描かれているからでしょう。

*摂取不捨の利益……摂(おさ)め取って捨てられぬ絶対の幸福

(『月刊 人生の目的』令和8年3月号より一部抜粋)

88ページ/A4変型
定価:700円(税込)

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