他力本願(たりきほんがん)
「他人まかせ」の意味で使うのは大変な誤り
「他力本願」とは、仏教の言葉です。
仏教とは、約2,600年前、インドで釈迦(ブッダ)が説かれた教えをいいます。
他力本願という言葉は、今日も見聞きすることがあります。しかし、「他人まかせ」の依存心を表すものとして、誤用されていることが多いのです。
例えば、「他力本願で夢をかなえようなんて、そんなに人生は甘くないよ」「面倒な仕事を他人に丸投げする。そんな他力本願な人を見ると、イライラするね」などです。
また、「他力本願の外交ではだめだ」「他力本願の投資は危険すぎる」など、いろいろな場面で他力本願という言葉が聞こえてきます。いずれも「他人まかせ」の意味で誤って使われています。
最近は、前向きな言葉として、次のように使われることもあります。
「大きな仕事をする時には、自分よりも力のある人に手を貸してもらったほうがいい。つまり、他力本願が必要だ」
「自分の行動に責任を持つことは大事だが、他人に頼れる人のほうが強い。ビジネスパーソンこそ、他力本願になるべきだ」といった使い方です。
この場合も、「他力」を「他人の力」という意味で使っているのですが、本来の意味とは全く違います。
他力を誤解したままでは、仏教を正しく理解することはできません。仏教に説かれている「変わらない幸せ」になることもできません。
(『月刊 人生の目的』令和7年5月号より一部抜粋)
続きの主な内容
①他力本願(たりきほんがん)
・他力本願の意味
・親鸞聖人の断言
・永久に変わらない幸せに
②四聖諦(ししょうたい)
・仏教に説かれているのは四つの真理
③四苦(しく)
・「人生は苦なり」が仏教の出発点
・年だけは取りたくないもの
・老いの次にあるもの
・最大の苦しみは「死」
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雨の日も風の日も、聞法に通われた親鸞聖人
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「結婚すれば幸せ」は、大いなる錯覚
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Q.同じことを尋ねたり、約束を忘れたりすることが増えてきた父が心配です
◯ こころの相談室 心療内科医・明橋大二