【インタビュー】哲学を超えた世界が『歎異抄』

思想史の研究を続けてきた
佐々木健 元教授(77)

「『歎異抄(たんにしょう)』は、哲学をはるかに超えています。人は、なぜ生きるのか。一番大切な問いに、ハッキリ答えを出しているからです」

と語るのは、世界の哲学の歴史を研究してきた佐々木健元教授です。

しかし、この結論に達するまでには、30年以上の歳月を要したといいます。

なぜ、このように断言できるのでしょうか?

なぜ、30年以上もかかったのでしょうか?

佐々木元教授からは、次のような、喜びあふれる答えが返ってきました。

「最初は、『歎異抄』を読み解こうとしても、正しい意味が分かりませんでした。富山国際大学や日本大学大学院で教鞭を執りながらも、ずっと『歎異抄』のことが頭を離れませんでした。

あきらめかけていた時に、高森顕徹先生の『歎異抄をひらく』に出合ったのです。非常に大きな衝撃が走りました。これまでの疑問が氷解しただけでなく、世界中の哲学者が誰も明らかにできなかった人生の目的と手段の関係が、明快に書かれているのです。『歎異抄をひらく』は、すごい本です」

東京都国分寺市にお住まいの佐々木元教授を訪ね、もっと詳しくお聞きしました。

(中略)

佐々木 同じですね。思想史は、特定の哲学者の思想を専門に掘り下げるのではなく、一つの時代の考えや思想が、次の時代にどのようにつながっていったのか、哲学の歴史全体を研究するものです。

佐々木 ありませんでした。哲学者の根本には、「何のために生きるのか」の問いかけがあります。いろいろな哲学者が現れ、考えてきました。しかし、誰も答えを出すことができないのです。

「何のために生きるのか」を考えることは大切です。しかし、哲学者がやってきたことは、あくまで理論であり、学問であり、現実の人生に生かせるものがないのです。

西洋の哲学を勉強しても、私の、人生へのもやもやは晴れませんでした。

そんな時、イギリス中部の留学先の大学の、隣町の学校から、「あなたは日本から来たのならば、仏教を知っているでしょう。仏教について、講義してもらえませんか」と依頼があったのです。

ヨーロッパでは仏教への関心が高まっているのに、私は仏教について、何も知りませんでした。慌てて資料を集めて勉強し、私なりの講義をしました。

これを機会に、自分が生まれた日本の哲学や仏教を学ぶことも大事ではないかと気がついたのです。

(『月刊 人生の目的』令和6年9月号より一部抜粋)

続きは本誌をごらんください。


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