ドイツ語版『なぜ生きる』の翻訳者
トーマス・カイザーさん(58)
ヨーロッパで高まる、仏教への関心
ドイツ語版『なぜ生きる』まもなく発刊!
「人生に目的は、あるのか、ないのか」「苦しくても、生きねばならない、理由は何か」
この切実な問いかけに、親鸞聖人の言葉で迫った書籍が『なぜ生きる』(高森顕徹監修 明橋大二・伊藤健太郎著)です。2001年に発刊されるや、日本で100万部突破のベストセラーとなり、アメリカ、ブラジル、中国、韓国、ポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、ロシア、ペルーなどで、次々に翻訳出版されてきました。
そして今、新型コロナウイルス感染症の大流行を経験した世界各地から、「生きる意味」を探し求める声が、ますます高まっています。その顕著な表れの一つが、ドイツ語版『なぜ生きる』の発刊です。まもなく、ドイツの首都・ベルリンのパラモン出版から発売されることになりました(6月の予定)。
なぜ、今、ヨーロッパで仏教への関心が高まっているのか。ドイツ語版『なぜ生きる』の翻訳者トーマス・カイザーさんにインタビューしました。
(聞き手・山崎豊 通訳・中村マウロ)
仏教観が大変わり
「こんな深い教えがあるとは!」
ドイツのフランクフルト出身のトーマス・カイザーさんは、翻訳だけでなく、国際会議の同時通訳者として幅広く活躍しています。精通している言語は、ドイツ語、英語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、フランス語、オランダ語の7カ国語。ドイツのメルケル前首相の信任が厚く、各国首脳との会談にも同席し、通訳の大任を果たしてきたといいます。
── カイザーさんが、『なぜ生きる』をドイツ語に翻訳しようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか。
カイザー 2020年から新型コロナウイルスが猛威を振るい、あっという間に多くの人が亡くなりました。悲惨な状況を目の当たりにし、「人間とは」「人生とは」と、見つめ直さずにおれませんでした。そんな時に、ポルトガル語版『なぜ生きる』を手にしたのです。書名が強烈でした。「必ず死んでいくのに、なぜ生きるのか」と、私に問いかけ、迫ってくるように感じました。
まず、この『なぜ生きる』を翻訳することによって、自分自身が向上し、悔いのない人生を送れるようになると思ったのです。また、私が27年間、プロの通訳者、翻訳者として培ってきた力のすべてを活かして、この素晴らしいメッセージを、ドイツ人に伝えたいと思いました。
『なぜ生きる』を読んで、仏教こそ、苦しんでいる現代人が、「生きる意味」「人生の目的」を知るために大切な教えであることが分かりました。ドイツ人にも、この本のメッセージを知るチャンスを与えなければなりません。
(『月刊 人生の目的』令和6年5月号より一部抜粋)
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